こんにちは、タスマニアでワーホリ中のすずめです!
先日、マウントフィールド国立公園に行ってきました。
🌱マウントフィールド訪問の記事はコチラ!↓↓
素晴らしい森林を散策すると共に、私たちはとある施設を訪問しました。
それは、国立公園内に位置する、ゴードンダム!
ゴードンダムって?
物凄い高さに、お尻がモゾモゾします😂
国立公園内を通る道路の、突き当り(南西部)に位置するゴードンダム。
タスマニアで最も高く(140mあるのだとか!)、オーストラリアでは5番目に高いダムでもあります。
階段を降りて、ダムの上を歩くことが出来ます。
階段でも、お尻がモゾモゾ
ダムの周りには、雄大な岩山が広がっています
谷の底を流れるのは、ゴードン川。
ダム上部に位置するゴードン湖のほとりには、ゴードン発電所があります。
ダムの背にはゴードン湖が
ゴードン湖
高さやら規模やらに、2人しておったまげたゴードンダム。
実は、このダムの周辺地域、過去にオーストラリア中から注目を集めました。
それが、「フランクリンダム反対運動」!
フランクリンダム反対運動
1964年、タスマニア水力電気委員会 (HEC)によりゴードンダムの建設が開始。
いくつかの自然保護団体が反対の声を上げましたが、1974年にダムは完成しました。
国立公園内には、電線もたくさん通っています
タスマニアの環境を守るため、もっと精力的に活動しよう!と、決心した活動家たち。
1976年、ボブ・ブラウン博士の家で、「タスマニア自然保護協会」が結成されました。
1978年、HECは、電力をより安く供給することで多くの産業を誘致するため、ゴードンダムの下流に新たなダムの建設を計画。
これが、「フランクリンダム建設計画」です。
この計画によって、広範囲な自然環境の破壊が予想されました。
揺れるタスマニア
タスマニア自然保護協会を含む保護団体たちの意見は “絶滅危惧種の生存が脅かされること、重要な先住民の遺跡を失うこと”
HEC側の意見は “ダムが建設されなければ1万人の雇用が失われる可能性があること”
として、対立。
団体たちは、州政府にダム建設計画の廃止を働きかけました。
そして、州都ホバートでは、ダム建設反対の行進に約1万人が参加!
1981年には、州政府によってダム建設に関する住民投票が行われました。
しかし「ダム計画の廃止」は選択肢になく(建設地を本来の場所にするか別の場所か、という2択だったようです)、活動家や反対派の憤りは募ります。
団体たちは人々に「投票用紙に“ダム反対(no dams)”と書こう!」という呼びかけを行い、結果は45%が無効票に。“ダム反対”と書いた人は多かったのではないかと予想されます
オーストラリア全土を巻き込んだ運動
この頃から、フランクリンダム反対運動は、本土からの注目を集めるように。
(オーストラリア連邦政府は関与に消極的だったようですが)
1982年、ボブ・ブラウンさん率いるタスマニア自然保護協会は、本土での活動も始めます。
有力者と一般市民 双方に対し、ダム反対への協力を呼びかけてまわったのです。
また、オーストラリア全土の国民に対し、総選挙で投票する際は投票用紙に「ダム反対」と書くことをお願いしました。
そしてこの年、多くの人が選挙にてダム反対の意思を示したそうです。
…その努力も虚しく、オーストラリア政府はこの問題への関与を拒み、反対派による座り込み等の抗議活動が開始。
その結果、議員やボブ・ブラウンさんを含む 約1,400人が逮捕される事態にも。。😱
1983年、総選挙で、ダム反対を掲げたボブ・ホーク議員が首相に当選。
首相は、自然保護に関する法律を改定・新たに制定。
これにて、フランクリンダム建設計画は、白紙となりました。
タスマニア政府はそれでも強行突破しようとしたけど、高等裁判所に命令され、中止を余儀なくされたそうな
この反対運動は、「The Greens(緑の党)」設立のきっかけとなりました。自然保護や脱原発などに重きを置いた政党で、今や各国にありますね!
変わっていくタスマニア
数年かけて守ることができた、ゴードンダム周辺の環境。
州内外のたくさんの方の努力があったからこそ成し得たことなんだなぁ…と、胸が熱くなります✨
マウントフィールドには素晴らしい自然が残されています
そんなタスマニアですが、大規模な風力発電の建設が進んでいます…!
さらに、発電した電力は、本土に送られる計画。。
タスマニア島は、本土の発電施設になってしまうのでしょうか…😰
自然保護団体や市民が、必死に声を上げています。
🌱コチラで詳しくご紹介しています!↓↓
再エネ発電は、確かに脱炭素の助けとなるかもしれません。
しかし、大規模に自然を切り開いたり、遠くの環境に電力を頼るのは、果たしてサステナブル?
“自然への影響を最小限に抑えること・それぞれの地域で賄えること” が望ましいように感じます。
そして、そのためには 必要な電力の見極めが重要。
タスマニアで考える、日本のこと
日本には毛細血管か!ってぐらい道路や線路が張り巡らされています。
移動は十分便利になったハズなのに、未だ新しい移動手段の開発が進んでいる。
商業施設の建設も続々。
再エネ施設の建設ラッシュが悩ましい日本ですが、そりゃ電力がいくらあっても足りないよな、と感じます。。😓
これ以上便利になる必要はあるのでしょうか?
この先開発される便利な物のために、電力の生産量を増やそう!
ではなく、「その便利さ、本当に必要?」と立ち止まって。
本当に必要な物を維持するために必要な電力を見定める事にこそ、プライオリティを置くべきなんじゃないかな。と思います。
おわりに
日本でも、各地でたくさんの方々が、自然を守るために声を上げておられます。
「フランクリンダム反対運動」の歴史のように、自然保護を国の問題としてとらえ、市民・政府みんなで考えていける。
そんな形になればいいなぁ…と思います✨
子どもたちに残したい、一番豊かな未来はどんな姿か?
みんなで考えていきませんか?😌
参考:
Franklin Dam and the Greens | National Museum of Australia
https://www.hydro.com.au/clean-energy/our-power-stations/gordon-pedder