こんにちは、すずめです。
現在、オーストラリアのタスマニア島にて暮らしています。
本日は、前回のブログ (↓↓) の続きです。
学校飼育に良い思い出のない私ですが、社会に出てから再び頭を悩ませることとなったのでした。。😨
動物の飼育に悩む現場
私は9年間、環境教育指導員をしていました。
様々な教育施設にお邪魔させていただく中で、時おり先生方の悩みを伺うことがありまして。
お悩みの中で多かったものは2つ。
ひとつは、動物の飼育の難しさです。
ある保育施設の先生が、
「これまでは園でニワトリを飼育していたが、夜に誰かが侵入してニワトリを殺してしまった。それ以来、動物の飼育をやめた」
とおっしゃられていました。
(第一発見者となった先生は とてもショックを受けられたそう…😢)
他の保育施設や小学校でも、
「飼育していた動物が逃げてしまった」
「飼育していても、多くの生徒は関心がない」
「学校業務との両立が難しく、良い飼育環境に出来ていない」
等、飼育にまつわる悩みは多く…
子どもたちに他生物への愛情を持ってほしいが、飼育動物からは難しいとの思いで、環境教育を依頼してくださっていたようです。
もちろん、いろんな状況があると思います。
飼育動物に癒されていた子どもは、少なからずいるでしょう。
ですが、「ただ動物が飼育されているだけ」「動物をちゃんと飼育できない」といった状況に悩む教育施設が多いのも事実です。
学校飼育の現状
ここからは小学校に的を絞ってお話ししますね。
大阪府では平成19年に80%の小学校が学校飼育を行っていたのに対し、令和4年には20%にまで減少したそうです。
そして、学校飼育減少の理由として最も大きいのが、「教員の働き方改革」。
教員の業務量を少しでも減らそうと、学校飼育は段階的に縮小されていったようです。
ホントにもう、先生方の忙しさといったら…!😱😱
指導員時代に、各地の小学校で英語やプログラミングの導入が始まったのですが、先生方の多忙感マシマシで、見ていて気の毒でした…😥
その上、学校飼育も!となると、しんどいのは当然。
学校飼育が減少するのは、もっともです。
…しかしながら、文科省を始め(前回の記事参照)、学校飼育をもう一度!という流れはあるようで😨
私はこの動きに、待った!をかけたい思いです。
衰退する環境教育
さて、2つ目のお悩みですが、ずばり環境教育の機会の減少。
現在、小学校の必修科目に「環境教育」という明確な授業はありませんが、地方自治体によっては独自の自然体験プログラムが設けられています。
例えば “4~5年生頃に自然の中で宿泊体験をする” といった感じですね。
そういった自然体験学習の実施が、授業時間不足によって難しくなってきている、との声を聞きました。
宿泊が日帰りになったり、1日が半日になったり…
子どもの自然離れが進む中、学校からも自然体験の機会が減っていくなんて、もったいないです💦
悩める先生方は、短縮された時間の中で子どもたちが少しでも多く学べるよう、一生懸命考えておられました。
もしも学校飼育をするのであれば
このままでは、失った環境教育の機会を学校飼育が賄うことになり兼ねんのでは?と、正直不安な気持ちです。
学校飼育から命の大切さ、他生物への愛情を学ばせようと思うなら、並々ならぬ計画と予算、その為にたくさんの時間を割く覚悟が必要。
劣悪な環境で飼育され、健康ではない状態の動物の姿から良い学びは得られませんし、そんな状態が普通だと誤認してしまう可能性だってあります。
そもそも動物福祉的にどうなん?と思うけどな…
動物たちが心身ともに健康な状態を保ち、全生徒が飼育動物に関心を持てるような意識作りを、果たして今の多忙な学校に求めていいのでしょうか?
学校という飼育を目的としていない施設で、動物福祉に富んだ飼育環境を実現するのは、厳しいのではないかなと考えます。
渡濠前の近所の某動物園にて。私の小学校とあまり変わらない飼育状況でした
教育において、失敗から学ぶことは大切です。
ですが、動物たちは生きています。
「可哀そうだったね、次は頑張ろうね」が成り立つワケにはいきません。
命に頼らない教育を!
ほな、どうすればいいん?という話ですが、私は飼育に頼らない学習方法を模索すべきだと思います。
例えばですが…
SDGsの広まりやオーガニック商品の普及で、環境保護に関心を持つ10代・20代が増えているそうです。
であれば、将来、環境教育に携わりたい!と思う方も少なくないハズ。
実際に「環境教育を仕事にしたいが就職先がない」という相談を受けたことがあります!
この時代を生かして、各都道府県で学校常駐の環境教育指導員を充実させたらどうかなと、個人的に思ってたりします。
ちゃんとした授業枠は設けられないにしても、学校生活の中で自然や生きものについて学べるチャンスはたくさん!
そういう瞬間を最大限生かしてくれるような指導員が、学校にいたら良いのになぁって思います。
命の教育は、どうしても学校の先生抜きでは難しい課題です。
でも、「飼育動物がいないこと」「頼れる指導員がいること」で、負担は軽減できるんじゃないかな。
おわりに
動物を飼育し触れあうことで抱く愛情もあるでしょう。
でも、
自然界で暮らす動物たちと適度な距離感を持ち、自然体の彼らに愛情を持つこと
彼らの暮らしや繋がりを知り、生態系全てを大切にしようと感じること
環境教育の形次第で、「他生物への愛情」は十分学べると思います。
私自身、そう願って活動してきたし、変化する子どもたちを見てきました。
これからの時代、動物に負担を強いる命の教育から、新たな一歩を踏み出してほしい!
生きものたちの “ありのまま” を大切にできる、優しい社会を目指しませんか?