以前、タスマニアの自然保護区で、“5月頭から6月にかけてシカの個体数調整が実施される”というニュースをご紹介しました。
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6月に入って実施期間が終了し、コチラの続記事が出ていました。
「タスマニアの自然保護区内での空中射撃によるシカの駆除は、想定していた駆除数の倍に及んだ」
↓↓ニュース記事はこちら
ざっくりというと、
3週間にわたる個体数調整において、711頭を駆除した。これは当初に想定していた300頭という数の倍以上であり、政府は成功であると称した。同様の個体数調整は2024年の5月に再び行われる予定である。
こんな感じの内容。
🦌🦌🦌
元々、この個体数調整プログラムでは、対象地域のシカを1頭残らず駆除するというのが目的でした。
なので駆除予定数の300は、駆除前の推定生息数であり、実際はその2倍以上が生息していたというワケです。
(ちなみに、換算すると約6分当たりに1頭を駆除したことになるそうです)
1頭残らず駆除するのに個体数調整って言えるの?
と思うかもしれません。
これには、タスマニアの政府が定めたシカ政策が関係しています。
タスマニアのシカ政策
以前の記事でも書いていますが、シカは元々タスマニアには棲息していませんでした。
移植者たちによりスポーツハンティング目的で連れてこられたシカ。
現在も、特定の時期にハンティングの対象となっております。
そのため、
「ハンティング用のシカは必要、でも害獣となりうる場合やオーストラリアの在来種などを保護する地域では不要」
というワケのわからんことになっています。
政策によると、シカ管理のためのゾーンを3つ設けております。
ゾーン1:ハンティングゾーン
シカは保護対象であり、持続可能なハンティングのために管理する
ゾーン2:バッファーゾーン
ゾーン1と3の間の地域で、土地の所有者が保護するか駆除するか決められる
ゾーン3:駆除対象ゾーン
シカ0を目指す地域
という感じ。
タスマニアのシカの未来
およそ200年前に、人間の娯楽目的で連れてこられたシカを、これからも持続可能なスポーツハンティングのためだけに生かすという発想。
思いやりのかけらもなく、到底理解し難いです😢
タスマニアには、基本的にシカの捕食者はいません。
ゾーン1からシカが出ないよう囲ってなどいないので、どこでも繁殖するし、数もそりゃ増えていくでしょう。
人間が望んでいるゾーン割りをシカは知る由もなく、自然のより多いゾーン3で頭数をゼロにするのは、難しいんじゃないかなぁ。
がんばって慣れない環境に適応し、生を繋ぎ続けてきたシカたち。
彼らは今後どうなっていくのか。。
私は、追い付かない個体数調整を繰り返し、罪のない命が失われ続けるだけなんじゃないかと予想しています😞
引用元:wikipediaより
By Jos - careful mother, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=36705466
おわりに
シカに付いてまわる厄介な問題は解決したいけど、シカを失うのは惜しい…という人間たちのワガママは頭の中にとどめて、実際の行動に移すのは是非やめていただきたいモンです、ホンマに。
いや、そもそもそんな考え持たんでほしいけど
たくさんのシカが犠牲となった今回の政策。
根底には、人間が生きものを管理する「ワイルドライフマネジメント」の考えがあります。
私たちは、この考え方が自然保護のベースとなっている限り、本当に豊かな自然は目指せないんじゃないかな、と思っています。
生きものを守るために生きものを殺すことが自然保護だと、子どもたちに思ってほしくない!💦
今回、頭数調整が行われた国立公園には行ったことがないので、近々行ってみようと思っております。
どんな場所なのか、またレポートしますね!
ほんなら!